君がくれたぬくもり
第17章 悪魔の顔
―――――……
―――――……
「なぁ…話の続き。」
「ん?……あぁ…」
岳の腕に頭を乗せ、見つめ合う。
甘い快楽の後の陽菜はさきほどよりも落ち着いていた。
「あのね……バイト先でね………その…お母さんに会ったの……。」
「お母さん……って……。」
岳の顔が引き攣る。
いつか岳に話したことを思い出したんだろう。
「陽菜のこと探してるみたいだった。また来るって…。」
「は…」
「あの人ね、陽菜の身体を使って儲けるから。
怖くて仕事どころじゃなかった…。
それで西田さんがもう帰れって言ってくれて、しばらくバイト休むことになったの。」
「…西田ってやつも今話したこと、知ってんのか?」
岳が陽菜を睨む。
この顔は嫉妬の顔。
陽菜が“西田さん”という単語を出せばいつもこうだ。
「西田さんには言ってないよ…言えないよ…。
もし陽菜の過去が知られたら、もうあそこにはいられない。」
「そうか…。」
岳は安堵の表情を見せた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える