
たまゆらの棘
第4章 再臨
翌日、倫は海の見える小さな町で下車した。小さな駅のロータリーには「G海岸は6番行きバス停」と書いてある、古びて錆びきった看板があった。倫はそれを見た。駅からバスで五分らしい。地図を見ると、道はまっすぐだった。倫は歩いて行くことにした。まっすぐの道の歩道は昔からあるような古い歴史を感じさせた。ゆっくりした下り坂に、赤茶色の石畳みの歩道には、切り子硝子の店や、陶器の店、手焼き煎餅屋が立ち並び、時々古くからあるような旅館も多く目立った。旅は楽しい。だが今の倫には金がなかったので、ただ衝動的にここに来てしまっただけであった。
海が見たい…それだけの理由で。
海が見たい…それだけの理由で。
