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なつのおと

第2章 夏のはじまり




「絶対聴いたことあると思っていたのに…」


ピアノの椅子に腰掛けて楽譜をもう一度まじまじと見る。


昔独学で頑張ってみたことはあるので楽譜は一応読める。


試しに最初の音を弾いてみる。


ポーンと伸びていく音は部屋全体に広がり、やがて消えていった。


鍵盤がやけに重い。


グランドピアノってこんなんなんだ。


一音だして緊張が薄れた。右手だけ最初の何小節かを弾いてみる。


やっぱりさっきの曲だ。


と思ったときだった。


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