
なつのおと
第4章 雨が降る
海斗が言いかけた時に後ろの背の高い男が目に入った。
男といっても男子生徒じゃない。
「こんばんは」
ちょっとラフな格好に、茶色の長い前髪とメガネが印象的な…先生?
見たこと無い。
ふにゃっと(俺にはそう見えた)笑うその人は普段接する威厳のある先生方(ミカちゃんを除く)とはちょっと違うように見える。
俺も海斗もそれが誰だかわからずに距離をはかりかねていると、右後ろで声がした。
「保健室の、先生ですよね?」
田中さんの言葉にああ、と納得。
俺は至って健康で保健室にいくほどの怪我もしてないし、サボリに行くなら図書室だから知らないな。
多分海斗もそうだろう。
横で頷いてる。
