All Arounder
第37章 Suggestion
「何だそれ、聞いてねぇぞ?」
「あたりめーだ、お前らには今言ったばっかなんだからよ」
そう言うと、井上は立ち上がった
「小泉、便所どこだ?」
「外だよ」
井上はぶらぶらと歩いて行ってしまった
固まってしまった大志と姫に気づき、小泉は言った
「井上が言い出したことなんだ。突然過ぎて、驚いたでしょ?」
「まぁ…ってか、何で井上…オレらがあいつの家にいちゃ面倒なんかな…?」
「井上は二人を厄介者だとは思ってないよ。
でも…彼なりにいろんな思いがあるんだ
わかってあげて?」
『思い?』
「うん」
一番の原因は姫ちゃん、君なんだけどね…
「だからと言って、明日からここで暮らさなきゃいけないほど急いでるわけじゃない。
もうしばらく井上の家でゆっくりしていいんじゃない?」
「…」
大志はどこか納得いかないようだったが
自分は世話になっている身なので、特に文句も言えない
追い出されたわけではなく、ちゃんと住める場所を提供してくれたんだから
なおさら文句なんて言えない
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