All Arounder
第6章 Expressionless Princess
『誰…?』
驚いたことに、西浦姫は怯えるどころか警戒する気配もなかった
そっちがそういう態度を取るなら…
「誰だと思う?」
大志はベッドに腰掛け、西浦姫の顔をジッと見た
綺麗
という言葉が1番合うのだろうか
西浦姫は、それ以上でもそれ以下でもなかった
『あたしを…』
表情を
一切変えないのだ
『…殺しに来た?』
「オレは、お姫様をさらいに来た」
大志のうっすら微笑んだ顔は、優しかった
もしかしたら、こんな大志の顔を見たのは
井上でも、家族でもなく
この無表情なお姫様が
初めてかもしれない
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