All Arounder
第31章 Have A Gun
ザッ ザッ
と砂利の上を歩いていく
あるところまで進むと、井上は足を止めた
「ここが…七香の墓だ」
『ここが…』
姫はこじんまりとした墓石を見つめた
雨までは降らない…それでもどこか涼しいのは
雲が太陽を遮っているからだった
「俺が生まれた時に母親は死んで…もともと離婚してたから、歳の離れた七香が、俺を育ててくれたんだ」
いつもは明るい井上が、顔に影を落とした
『いいお姉さんだったんだね』
「ああ…でも…」
井上はキュッと口を結んだ
「…無理のし過ぎか何なのか…病気にかかってた」
『え…』
肌寒い風が、首筋をすり抜けた
―――――――――
――――――
「七香ー早く酒場行こうぜー」
服もきっちりパジャマから着替え、俺は台所まで七香を呼びにいった
いつもなら「すぐ行くからー」とか、何か返事が返ってくるのに
今日はなかった
「七香ー?」
台所を覗くと、テーブルの隣で七香が倒れているのが目に入った
「なっ…七香!!?」
俺は急いで七香に駆け寄り、その体を揺すった
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