All Arounder
第31章 Have A Gun
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『退斗っ』
後ろからポンッと背中を叩かれ、振り向くと姫がいた
「お、どーした姫ちゃん」
『退斗、お墓参り行くの?』
すると井上は、少し寂しそうな顔をして「ああ」と答えた
「…マスターにでも聞いたのか?」
『…退斗のお姉さんの…ってことだけ』
「そっか…」
井上はそのまま、花屋に向かった
何本か選んで束ねてもらい、店を出る
外で待っていた姫は、井上の隣へ寄ってきた
「…何でついて来るんだ?」
『何となく?』
ニコッと笑って丸め込まれちゃあどうしようもない
「そう遠くねーから歩いて行くけど、いいか?」
『うん』
特に喋ることもなく先へと進んでいると、姫が話しはじめた
『退斗のお姉さんって、どんな人だったの?』
聞いていいことなのかわからなかったが、それくらいしか話題が思いつかなかった
「七香っていうんだけどな…俺が言うのもなんだけど、かなり可愛かった…」
『へー…退斗に似てるの?』
「マスターはそう言ってるなー、自覚はねーけど」
井上は軽く頬を掻いた
「初めてマスターに会ったのは…酒場でバイトしてた七香が、俺をそこに連れてった時だった」
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