All Arounder
第19章 Tell A Lie
『…今はそんなこと関係ない、あたしを下ろして』
「本当に変わられてしまった…」
黒羽は、その綺麗な瞳で姫を見つめた
しかしその瞳も、すぐさま黒く濁った
「あの男に毒されたのですね…?」
体中に寒気が走った
嫌な予感がする
『た…大志には何も…』
そう言いかけたが、容赦なく遮られた
「あのバイクに当たりましょう」
「はい」
運転手が了解すると、車は急ブレーキをかけた―――――
「っ…!!!」
追いかけていた車が急にブレーキをかけたので
大志はぶつかりそうになったのをギリギリで避けた
「あっぶねぇな…!!」
車体の大きさからして、こっちは圧倒的に不利だった
ぶつかりでもしたら…
やむを得ず、大志は車とは一定の間隔を空けながら追いかけることにした
このまま車は屋敷へ向かうのか…?
そんなことを考えていると、いつの間にか雑木林の手前にある原に着いた
車は止まり、明かりはライトの光のみとなる
扉が開くと、中から4、5人の使用人が出てきた
「…」
大志もバイクから下り、その使用人たちを遠くから見た
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