Memory of Night 番外編
第3章 熱々、バレンタインデー!
晃が向かった先は駅だった。
二人とも高校は徒歩圏内なので、普段電車はあまり活用しない。
その電車に乗り晃が宵を連れて向かった先は市街地だ。
街はさらにイルミネーションが華やかで、人の数も多い。
そこかしこで甘いラブソングが流れる中、晃は宵の手を握ったまま離さなかった。
電車を下りてから、ずっと。
「連れてきたかった場所って、ここ?」
やや早足で歩み続ける晃に、宵が問いかける。
なんとなく、ムードに流されてしまいそうで晃の顔を直視できない。
「うん、まあ、ここもバレンタインて感じで歩くのは楽しいけど、目的地はもう少し先」
にっこりと笑って晃が答える。
二人はさらに雑踏の中をしばらく進み、晃はあるビルの下で立ち止まった。
「ここって……」
「うん、市役所」
あっさりと肯定されて、宵が目をしばたたかせる。
こんなところで一体何をしようというのか。
「ここ、屋上が展望台になってるの、知ってる?」
「え?」
「夜景がすごく綺麗に見えるんだ。俺的に、意外とオススメスポット」
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