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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 いろいろと疑問は残るが、尋ねる前に宵は大山に背を向けて、屋台から出てしまう。

 他の当番の子も、興味深々といった様子で宵の後ろ姿を眺めていた。

 宵は屋台から出ると、ちらりと周囲を見渡した。パーカー越しにでも、メイド服を着ている様はよくわかる。

 通りがかった人々は、一様に宵に視線を浴びせていく。

 コスプレ姿をジロジロ見られるなんて心底嫌だろうに、それよりもっと重大なことがあるのか宵は周囲の視線をあまり気に止めてないようだった。

 まるで誰かを探してでもいるように、ちらりと動いていた首が、不意に止まった。大山も隣に並び、宵が顔を向けた方向に視線を送る。


「え……」


 そこにいたのは、四組の大西晃だった。

 彼も宵の姿に気付いているようで、まるで面白がるように宵を見ている。

 次の瞬間。

 メイドは弾かれたように駆け出した。


「あ……おい、宵!」


 大山の言葉に、振り返りもせず駆けていく。


「……たく。なんなんだ、あいつは」


 呟き、屋台に戻ろうとした時。


「あれ、てかあいつ……」


 立ち止まり、宵の姿をもう一度頭に思い浮かべる。

 ある違和感が大山の脳裏をよぎった。

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