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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「――明ちゃん遅いねー。キャベツもうこれで終わりだよ?」

「マジか」


 まな板の上でキャベツをざくざく切っていた女子が、作業を中断して大山に呼びかける。

 大山は炒め終わった焼きそばをパックに詰めながら、まな板を覗きこんだ。

 残るキャベツは四分の一個。これだと焼きそば十人分くらいしか作れない。


「俺家庭科室見てくるよ。客もとりあえず落ち着いたみたいだし、今のうちに。すぐ戻ってくるから二人で店番よろしく」

「わかった、ありがとう!」

「大山くんありがとね!」


 大山は頷いて、すぐさま屋台を出ようと足を踏み出す。

 まさにその瞬間だった。

 ざくり、と小さく靴が地面を踏みしめる音がしたかと思うと、大山の目前に何かが差し出された。


「え……っ」


 大山はぎょっとして、思わず差し出されたそれを凝視する。

 白いビニール袋だった。その中から覗くのは緑色の物体。待ち望んでいた、キャベツだ。


「おお明、ありがとな。ずいぶん時間かかってたみたいだけど、何かあっ……」


 ……ったのか、と続けようとして、顔をあげた大山が固まる。

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