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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 宵の心臓が大きく跳ね上がる。

 宵は携帯を持っていない。

 一番最初に頭をよぎったのは、晃の携帯だった。この最悪なタイミングで携帯の着信音なんて響き渡れば、即自分たちの存在が男子生徒にバレてしまう。

 だが、それは思いすごしだったのだとすぐに知る。


「もしもーし」


 電話の決まり文句が、テーブルの外から聞こえてきたのだ。


「……びっくりした」

「それはこっちのセリフだっ。……一瞬おまえのかと思った」

「いや、俺学校じゃ電源切ってるし」

「なんでそーいうとこだけ真面目なんだよ、変態っ」


 キレる場所がおかしいだろうと自分でも思うが、ついそう非難してしまう。

 もちろん小声でのやり取りだ。

 それにしても、男子生徒はいったい誰と電話をしているのだろうと思う。さっきも男子用のロッカールームで電話をしていなかったろうか。

 立ち止まってなにやら話しこんでいる男子生徒に、宵はだんだんイライラしてくる。

 さっさと教室を出ていってほしいのに。


「え、違うよ。だからコンビニを左だって。それから二つめの信号を……」

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