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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 その時だった。

 ほんの小さな物音が、後ろで響いた。


「……え?」


 男子生徒は驚いて、顔をあげる。反射的に素早く後ろを振り向いた。

 もちろん、誰もいない。

 続けて辺りをキョロキョロと見渡してみるが、やはり人はいなかった。

 灯りがないだけに、なんだか不気味に感じる。

 気のせいだろうか?

 違う気がするのだが、微かな音だったので確証は持てない。

 もし物音が気のせいでないのなら、おそらくそれを立てたのはメイド役の宵という子だ。前半の時この旧校舎に潜んでいたというのも、参加者から聞いていたし。

 前言撤回。まだもう少しだけ、メイドを探してみることにした。

 男子生徒は男子用ロッカールームの向かい側にある教室を眺めた。

 ここはなんの教室だったのだろう。プレートがないので、中に入ってみないとわからない。

 男子生徒はポケットにしまってある手錠をそっと手に持った。

 それから軽く深呼吸をして、心の準備を整える。

 とりあえず色仕掛けには惑わされないようにしようと堅く心に近い、意を決してその教室のドアを、開けた。

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