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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 その中に人影があったのだ。正確に言えば男子生徒の後ろ姿。

 とっさに宵はその場にしゃがみこんだ。


「……マジかよ」


 先ほど窓の外で見かけた、鬼の子だろうか。一瞬後ろ姿を目にしただけなので確証は持てないが、その可能性が一番高い気がする。

 突然現れた晃に気を取られすっかり忘れていたけれど、彼もこの旧校舎で、宵を探していたのだ。

 さっきまでのやり取りを見られず、本当によかったと思う。


「どうかした?」


 宵が落とした手錠を拾い上げ、突然座り込んでしまった宵を不思議に思ったらしい晃が、そう問いかけてくる、


「しーっ。……いるんだよ誰か、向かいのロッカールームに」

「……鬼?」

「多分」


 晃もドアから廊下を覗く。

 それから宵のそばに膝をつき、笑った。


「良かったね、あのままご奉仕続けなくて。ドア開けられたらアウトだった」

「おまえが言うな」


 それにしても、彼はロッカールームなんかで何をしているのだろうか。宵を探しに下から教室を見てまわってきたのだろうか。

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