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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「邪魔しないでってばっ」


 肩にかかる大山の手を体を揺すって振り払おうとする明。


「いやいやいや、ここはさすがに止めないと!」

「馬鹿っ」

「馬鹿って……。おまえキャラ壊れすぎだぞ、文化祭の準備で大変なのはわかるけど、本気でちょっと落ち着けっ。深呼吸深呼吸」


 無理矢理笑顔を取り繕って、大山は言う。


「ほら、ひっひっふー、ひっひっふー!」

「……それは深呼吸じゃなくて助産法」


 明が呆れたように瞳を細め、ため息をつく。

 思いのほか冷静な突っ込みが返ってきたことに、大山はほっと胸をなで下ろした。

 だが変わらず明の手は宵の服をひっつかんだままだ。

 このままだと本当に宵の身ぐるみを剥がしかねないので、仕方なく、大山は明の両脇に自分の腕を差し入れた。

 女子相手にこれはどうかと思ったが、この場合致し方ない。

 後ろから脇を抱えるようにして明の体を宵から引き剥がす。


「ちょっと大山邪魔しないでよーっ!」


 じたばたと暴れる明を必死に抑えながら、大山は口元だけを動かして、宵に「今のうちに逃げろ」と合図を送る。

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