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Memory of Night 番外編

第4章 Episode of AKIRA


 晃の興味がモノからヒトへと移り始めたのは、晃が中学に上がったばかりの頃だ。

 きっかけは、クラスメイトからの告白だった。


「……ずっと……好きだったの。付き合ってくださいっ」

 顔を真っ赤に紅潮させて、長い髪をなびかせながら彼女は言った。

 呼び出されたのは学校の裏の人気のない場所。

 純粋に、可愛い子だと思った。

 まだ新しい環境に馴染むことで精一杯な生徒達が多い中で、ませてるんだな、とも。

 コイビト、カノジョという関係に興味もあった。

 好きだというはっきりした恋愛感情は見つけられないまま、好奇心に負け、晃は二つ返事で彼女の言葉を受け入れた。

 初めての、人とのお付き合い。それはとても新鮮ではあった。

 彼女にねだられるままいろいろな場所に遊びに行ったし、たくさん話もした。

 けれども自分から誘うことはなかったし、会いたいと思わうことも不思議となかった。


「ねえ、晃くん、好きだよ。……あたしのことちゃんと好きだよね?」

「……うん、好きだよ」


 彼女はそんな晃の態度を不安に思ったのか、時々そう聞いてくる。

 それにすら煩わしさを覚えるようになった。

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