テキストサイズ

Memory of Night 番外編

第4章 Episode of AKIRA


 店の中は、異色な雰囲気が漂っていた。けして華やかとは言えない白が基調の建物の中に、人形が五十体ほど。

 様々な衣服を身につけ、飾られていたけれど、共通しているのは全てが和をモチーフにしているということだ。

 色鮮やかな着物を纏い、黒や茶の髪や瞳をした人形達が晃と母を出迎えていた。


「すごいわねー。まるで生きてるみたい。私、叔父様にご挨拶してくるから店の中を見てていいわよ、晃。お話が済んだら呼びに行くわ」

「うん、わかった」


 晃は母に促されるまま、店内を見てまわった。

 人形の大きさや、店頭での並べられ方は様々だった。腕にすっぽり収まるサイズのものから等身大のものまで。じかに飾られているものから、巨大なガラスケースに入れられたものまで。

 表情だって違う。微笑んでいるもの、目を閉じているもの、無表情のもの。

 人形達は皆美しいけれど、瞳も髪も黒ばかりで、それがどこか無機質に感じられて、居心地の悪さと気味の悪さは拭えない。

 それでも母が来るまでは暇を潰すものもなく、恐る恐る人形達を見て歩いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ