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Memory of Night 番外編

第4章 Episode of AKIRA


「今さら引くも何もねーだろ? おまえの嗜好にはもう十分ドン引きしてるし」

「……ひどいな」

「自業自得」


 晃は一度、今までの言動やら行いをじっくり思い返してみればいいのだと宵は思う。

 晃がエスカレーターの隅に貼ってある案内板を確認すると、この建物は八階建てだった。つまり、最上階は八階ということになる。

 人波に呑まれながらエスカレーターを上がっていくと、客の数は徐々に減っている気がした。

 八階にたどり着く頃にはエスカレーターに、自分たち以外の乗員はいなくなっている。

 どうしてだろうと思ったが、八階を見渡してみてわかった。

 そこには大型の本屋が目の前にあるだけで、その両側はまだ店がはいっていないのだ。だだっ広い空間に、立ち入り禁止の紐がかけてあるだけだ。

 この階はまだ、利用する店舗がすべて決まってはいないらしい。

 本屋にはぽつぽつ客がいるけれど、下の喧騒に比べればだいぶ静かだ。

 晃はエスカレーターを降り、宵を振り返りかけてふいに足を止めた。


「……?」


 晃の視線は宵の後ろに向けられている。

 一体どうしたのだろうと、宵も後方を振り向いた。

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