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Memory of Night 番外編

第4章 Episode of AKIRA


 宵はついていた肘を下ろし、上体を起こした。

 視線は晃を捉えたままわずかな時間考えていると、晃がふいに苦笑を洩らした。


「……なんだよ」


 むっとして、さらにきつく晃を睨みつける。

 晃はさらに笑みを深めて、言う。


「……女の子はまあ好きだけど、宵の方が何百倍も好きだよ」


 結局好きなのかよ、と思わず突っ込みたくなった。


「嘘つけ。どうせ女の代わりだろ?」

「……どうしてそういう話になるの?」

「おまえが変態だから」


 間髪入れずに宵が答える。

 晃は吹き出した。


「意味わかんないよ。何をさっきからそんなに拗ねてるの?」


 そんなふうに問われても、話の論点がぐるぐるまわっていて、何に対してこんなにいらいらしているのか宵にはわからなくなっていた。

 二の句が継げず、口を閉ざす宵。

 晃はつぶやいた。


「大丈夫だよ。今まで確かに女の子とばかり付き合ってきたけど、宵を女の代わりとは思ってないし、宵に対しての気持ちは特別だから」


 グラスの氷がからんと音を立てる。


「特別?」

「……最初に惹かれた理由がそもそも違うんだ」

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