テキストサイズ

Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


「エロい顔。そんなに物欲しげな顔をされるともっと焦らしたくなるな」


 言葉と共に鎖骨を指でなぞられ、宵はぶるりと身震いした。

 我慢できずに、もう一度晃の首に触れる。

 肩がわずかに上下するのを止められなかった。

 晃の唇にもう一度唇を押し付け、前を開けたままの晃のコートを脱がせる。

 鞄が床に落ちる鈍い音が響いたが、そんなのはもう宵の耳には届かなかった。

 今はただ、晃の体にじかに触れたい。

 湧き上がる欲求のまま、ブレザーを脱がし、黒いセーターを捲りあげる。

 晃は脱がせづらいセーターだけは自分で脱ぎ捨て、後はただ宵のやりたいようにさせていた。

 キスも自分からは攻めず、宵がくれるのを受け入れるだけ。

 だが、晃をワイシャツ一枚にまで脱がした時、さすがにそれを脱がすのは抵抗があった。

 ここはまだ玄関。晃の部屋ですらないのに。

 動きを止めた宵に、晃はわずかに口元を歪める。

 そして唐突に告げる。


「風呂、一緒に入ろう。ここまで脱がしてくれた礼に今度は俺が洗ってやるよ、宵の体」


 そうして荷物や衣服を持って脱衣所に向かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ