テキストサイズ

愛されてると勘違いだったので、推し活をやめようと思います

第3章 新たなヒーロー

家の外に出ると、あちこちで工事をやっていた。道路を直したり、建物の瓦礫を片付けたり、交通整理をしたり、大規模な工事だ。そしてその働き手はAIロボットがやっている。



(直しても、また壊れるかもしれないのに……)



私は知っていた。
あちこち工事をしているのは、先週突如現れたモンスターのせいだということを。



大学行きのバスが来る。
手の甲をかざして、バスに乗り込む。
バスの運転手は人間の姿をしたアンドロイドだ。



私は一番後ろの席に座った。
二つ前の座席には、黒い帽子を被った男性が座っている。その後ろ姿は人間に見えるが、アンドロイドかもしれない。



気づけば、生身の人間は少なくなっていた。
テレビに映るキャスターも俳優も、よく見ればアンドロイドだ。
人のように笑い、怒り、泣いて……でも彼らに人間と同じような『心』はあるのだろうか、と思う。



(ビーが来る前はアンドロイドの家政婦だったけど、途中で怖くなって辞めたのよね……)





ストーリーメニュー

TOPTOPへ