
Kalraの怪談
第7章 七夜目:よくも
「しかし、その後、兄は妙に怯え始めました。
たまにしか話さなかったのですが、何度か『店で夜、女の声が聞こえる』とか、『なんで、なんでって言うんだ・・・』とつぶやいていました。
そのことも当然M実たちに聞きましたが、全員が知らないと言いました。そして、自分たちは聞いていない、と。」
「兄は今、入院しています。
重度のうつ病です。ほとんど話すことはないのですが、たまに妙に怯えて私に夜通しそばにいるように言うことがあります。
『あいつがくる、あいつが・・・』とその時は言います。」
「私は、兄が良心の呵責から幻覚を見るようになったのだと思っていました。でも、変な話ですが、兄にも人の心が在ったのかと、安心したところもありました。」
でも、と女性は続けた。
「一度だけ、特別に許可を得て、病院で兄に付き添って一夜を過ごしたことがあります。
そのときに、私にも聞こえたのです。
『よくも』
と言う女性の声を」
たまにしか話さなかったのですが、何度か『店で夜、女の声が聞こえる』とか、『なんで、なんでって言うんだ・・・』とつぶやいていました。
そのことも当然M実たちに聞きましたが、全員が知らないと言いました。そして、自分たちは聞いていない、と。」
「兄は今、入院しています。
重度のうつ病です。ほとんど話すことはないのですが、たまに妙に怯えて私に夜通しそばにいるように言うことがあります。
『あいつがくる、あいつが・・・』とその時は言います。」
「私は、兄が良心の呵責から幻覚を見るようになったのだと思っていました。でも、変な話ですが、兄にも人の心が在ったのかと、安心したところもありました。」
でも、と女性は続けた。
「一度だけ、特別に許可を得て、病院で兄に付き添って一夜を過ごしたことがあります。
そのときに、私にも聞こえたのです。
『よくも』
と言う女性の声を」
