
ヤリチン野郎と一途くん
第10章 満員電車
「ごめんなさい…」
と、涙目になりながら蘇芳に謝った…
しかし、蘇芳は
ヘッドフォンを耳に当ており聞こえておらず
その子の可愛い唇の動きだけで読み取った…
蘇芳
(…ん?助けて…?)
それもそのはず…
その子の後ろにピッタリとくっ付いている、
異臭漂う、おっさん…
しかも最悪の状態…
おっさんは股間を、その子のズボンに
擦り付けて腰を振っていた…
蘇芳は、その光景を見て…察して…
「ごめんなさい」を「助けて」と勘違い…
状況的には間違いではないのだが…
蘇芳は声を落として…その子に…
蘇芳
「大丈夫だよ…もう少し辛抱して…
次の駅でバスに乗り換えだからね…」
と、蘇芳は、その子の耳許で囁いた…
その子は…また顔が赤くなり…
コクコクと頷き俯いた…
