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──拝啓、支配様

第4章 4

…… 安藤 夏江。確かそう名乗っていた少女だ。

特に目立つ容姿でもなく、発言も少ない、一番影の薄い存在から飛んできた言葉だった。

諍いの中心に居る美麗、遠野、大寺、三人の視線が一斉に彼女の方へ向き、

次いで諍いをオロオロと見詰めていた奏音と僕の目が彼女を捉える。

怒気、混乱、優越と軽視。そのどんな視線にも彼女は臆することなく、冷静な面持ちで、椅子に腰掛けていた。

「宮本くんの目的って何?」

彼女は小さく問い掛ける。その問は僕には向いていない。全体に向けられたものだった。

「宮本くんは、私たちを止めにきたの? 違うよね? 私たちに協力するために倶楽部に入ってきたんでしょう?

だったら、むしろ歓迎するべきじゃないかな? 優秀な人材が入ってきたんだから……」

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