シャーク×ロストコロニー みにくいケイトはもう逃げない
第5章 ケイト・アウェイキング
目覚めた当初の半日は、とても忙しいものだった
何回、血圧を計るの?
何回、脈拍を計るの?
何回、目の前で腕をヒラヒラさせないといけないの?
さっきもやったじゃない?
もう何度目よ?
どうしていつも同じことを聞いてくるの?
あなたにさっき言ったじゃない?
っていうか、あなた以外にも、何人にも答えてるわ
最初の数時間は非常に目まぐるしい状況だったが、だんだんペースが落ちてくるとケイトのほうも飽きてきてしまっていた
“あ、でも
パパと会えたときは、思わず泣いちゃったわね
そして、ふたりでお母さんを偲んだわ”
こうして忙しかった時間もやがては落ち着き、
ひとりでいる時間も少しづつ増えてきた
白衣の人たちはいつも忙しそうだ
別に相手をしてくれ、とは言わないがずっと部屋に居てるのも退屈だった
身体はとても健康だったから余計だ
この頃からケイトは病院内を散歩することが多くなった
やがて、運命のときがやって来る
モビルスーツの戦闘があったらしく、パイロットが重症だ!と一報が入るとさらにスタッフは忙しくなった
そしてすぐに二台の担架が運び込まれる
ケイトも人の隙間からひよっこり覗き見して「あっ!」と思わず声を上げてしまった!
運び込まれたパイロットのうちのひとり、
若い男性のほう
彼の顔を見た時の衝撃を、ケイトは忘れない
あの〈夢の中の彼〉がこの現実世界にやって来たのだッッッ!!
ケイトは時間も忘れて、いつまでもいつまでもガラス越しの〈彼〉を眺めていた
そして仲の良くなった看護師から彼の名前も教えてもらった
ザック・ネイラー
“彼は何者なのかしら?”
“どうやって夢の世界から、こっちの世界に来られたのかしら?”
ケイトは彼と“話してみたい”と強く思った
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