「シャーク×サルベージ」
第2章 「シュルフ・ルソン」
「あれ? 結構沖の方まで出ちゃったな」
ジョージは本日最後の波を楽しもうと何度目かのゲティングアウトをしていたが、岸の先端からの離岸流に流されてしまったようだ
簡単に流されて沖の方まで出てしまった
沖の方は波が少ないため中級者向けの場所になってしまう
まわりに人影が居なくなった
中級者のサーファーはこの岸からの離岸流を利用して楽に沖に出るのだが、ジョージは無意識に沖まで出てしまったことに後悔した
今から浅瀬に戻るのもタイヘンだし、このまま波を待つか
浅瀬と違って波の回数は少なくなるが、良い波を見つけて上手く捉えれば長い時間立っていられる
ジョージはボードの上に寝そべりながら上半身を反るように起こしてパドリングを繰り返す
波を待っているとき、身体の下を何かが通り抜けたような水の流れを感じた
「?」
そのときは何も気付かなかった
それが何度も何度も繰り返してくる感覚
思い切って顔を水の中に突っ込んでみる
ちょうど正面から大きな魚が一直線に迫ってきた!
「サメだッッッ!!!」
ジョージは顔と腕を水面から上げて静止した
「確か動くものに反応するハズだよな?」
ジョージはパドリングをやめ、脚も出来るだけ動かさないようにジッとしていた
「俺は水面に落ちた落ち葉
俺は水面に落ちた落ち葉」
気持ちを集中させて、動きを止める
そのとき、ハッ!と思い出した事があった
ゆうべバーのビールケースで脚を思いっきり蹴躓いて擦りむいていたのだ
海に入った瞬間は傷口が染みていたが、何度も波に乗っていってその感覚も薄れていたところだった
サメは1キロ先に落とした血の臭いを嗅ぎつけると言う
ジョージが“あぁ……”とため息をついた瞬間
サメはジョージの右足を引き千切っていた…
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