
マッチ売りの少女と死神さん
第9章 1月3日…お別れの調ベ 後編
だってまだこんなに柔らかい。 その理由を証明するかのように、サラの体はホーリーが軽く指を曲げただけで、熱い内側へ沈み込むのを許す。
緩やかに内部をうごめく二本の指は痛みどころか、異物感さえあっという間に薄れさせ、次々にサラの性感を捉えていく。
サラはホーリーの手首を抑えた。
あまりにも急速に高まっていきそうな自分を恥じたのもある。
「サラさん、ミスター。 お茶をお持ちしましたよ」
ノックの音と一緒にドアの隙間から顔を覗かせたクラース氏が二人に話しかけてきた。
慌てたサラは強ばった表情で彼にお礼を言った。
「おや、お二人ともピアノを弾かれるのですか」
サラは気付かなかったが
────少しだけねえ。
のんびりと言ったホーリーがサラの胸の下から腕を外した。
二人掛けのスツールの前には木製のピアノが壁に沿って置いてあった。
無言のサラの耳に「ポーン…」と、高く弾む音が響く。
────ああ、こんな音がするんだ……
感慨深そうな、ホーリーの声だった。
膝の上に彼女を乗せたままホーリーは鍵盤をなぞり始めた。
勝手に凹むキーを眺めるのは不思議な気分だった。
それよりも、サラはその場から動けなかった。
なぜなら彼のもう一つの手はその間もサラを弄んでいたのだから。
