
ジェンダー・ギャップ革命
第5章 良人の娘と寝る女
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電飾に彩られた夜桜を一周楽しんだあと、えれんと泰子、そして真智は、公園を出た。
行き着いたのは、真智の料亭だ。
今夜の暖簾を下ろしたばかりの従業員達と声をかけ合いながら、えれんと泰子は女将の案内に従った。
「適当な焼酎持ってきたわ、えぇっと……二年熟成?フルーティーで、最近こればかり飲んでる」
「左手のワインも気になる」
「綺麗でしょ、金箔入り。えれんのところの苫坂さん達が好きそうね」
酒の席は、ものの二十分でそれらしくなった。
店から目と鼻の先の距離ほどの真智の自宅から運ばれてきた酒やつまみは、どれも彼女の食通を象徴していた。えれん達は美しい水色の芳醇なワインや日本酒を賛美して、近況報告や身近な話、著名人の噂話に花を咲かせた。
酒に弱い人間同士が集まると、必要以上に腹を割る。とりわけ商談や密会の場に選ばれやすい店を営む真智の話題は、彼女に強烈な印象を残した客達だけでも尽きない。メディアに売れば数日間は世間を震撼させるような裏取引に始まって、密談や不倫現場など、ここで繰り広げられたドラマがいかに彼女の好奇心を刺激したかは想像に容易い。
羽目を外した会合で、酩酊がえれんを悪ノリさせた。
