
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第4章 増援部隊ゾーナタ
数時間後、
医務室のベッドの上で少女は目が覚めた
カーテンは仕切られていているものの、周りに人の気配がする
少女はあたりを見渡し、そぉっと起き上がるとカーテンを少しだけ隙間をつくって様子をうかがった
カーテンの向こう側では他のベッドが並んでいる
どうやら4人部屋のようだ
他のベッドの仕切りカーテンは開放されているのでこの部屋は自分しか使っていないことがわかる
今のうちに、と逃げ出そうとした途端
病室の外から入ってきたジョンとバッチリ目が合ってしまった
「……あ!」
「おいッ! いま明らかに気まずそうな顔をしただろうッ! また逃げ出すつもりかッ!
グリメット家の娘はコソコソとネズミのように逃げ出すつもりかい? それでも貴族の娘か?」
「なぁんだ、もぅバレてるんだ」
「恥ずかしい真似をするな、子どもとはいえキミが自由に動いていい場所じゃないよ
しばらくは大人しくしてるんだね、直に君の親父さんトコの使者が迎えに来る事になってる
あとモビルスーツの本当のパイロットもね
ラーズ・ローズと言ったかな?せいぜい殴られないように気を付けるんだね、盗んだんだろう?さぞかし怒ってるだろうなぁ!」
「こ、子供を殴る事はしないでしょ!」
「さぁな、此処の空軍と違って地上部隊の陸軍は気性の荒い連中ばかりだからな、子供といっても容赦無いんじゃないか?」
ジョンはわざと少女を脅していたが、後から現れたジェニファーに戒められた
「なに子供を責めてるのよ!大人げない!
ローズちゃん目が覚めたのね!
気分はどう?」
「気分はサイアク!ここは子供をいじめるんだね」
ジェニファーはジョンの背中を書類ファイルで思いっきり叩いた
「ローズちゃん、どこも身体痛いところが無いんだったら食堂に行こう!何かジュースでも飲みましょう」
「おいおい、また逃げだしてしまうよ!
個室で見張ってないと!」
「もう逃げたりしないわよね、ローズちゃん!
それにどうせモビルスーツはロックを掛けたのんでしょ!逃げても空の上からは出られないわよ!」
「お姉さん、食堂へ行こう!
それにこの男は私に体当たりしてきた人だ、いま思い出した、ヤな奴だよ」
「私はジェニファーよ、
アンタも来るのよ、ジョン!
元々はアンタの役目なんだからねッ!」
