テキストサイズ

クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


数時間後、

連邦空軍のゾーナタと月から降りてきた巨大な兵器ストームは黒海の沖合いで合流した


ラーズとクレアは早速ゾーナタの医務室へ移され、念の為ローズも精密検査を受けていた

あるじを失ったストームの中にゾーナタの士官やエンジニアたちが乗り込んで未知の兵器を確認していく


「信じられないぐらい古い作りですなッ!?
 もはや遺跡と呼びたいぐらいだ
 このような昔の遺物にあれほどの破壊力を兼ね備えているとはとても信じがたいッ!」

スティーブ・グリメットは興奮気味にコックピットルームを観察していた

同伴しているヨハネス・リアリティも感嘆するしかなかった

「逆に小型化出来なかったからこの大きさにせざるを得なかったのかもしれませんね……
 今の技術ならもっと小型化が出来るのかも……、しかしコントロールするのも一苦労のようだが……」


「……だからウチの娘に操縦出来たのかもしれません、普通のパイロットでは制御出来ないでしょう…、しかしハルフォード提督がコイツを手に入れようと躍起になっていたところをみると、やはり噂は本当のようだ」


「噂?」


「ブルガリアの古い知人から買った情報なんですが…、ハルフォード提督がエターナル・チルドレンを手に入れた、というものです
 私はその子供を解放したくて情報屋を雇っていたのです
 そうなればこの機体をゼントリックス軍に確保されていたのなら、もう止める術がありませんでした」


ヨハネスはこの巨大な未知なる兵器が敵に回っていたかもしれないと思うとゾッとした


「それならばこちら側の手に入れられたのは幸いですね、あなたの娘さんも無事のようだし」


ヨハネスは安心しているようだが、スティーブは深く考え込んでしまった


“この兵器が月から降りてきたのは偶然だ

 ではナゼ、ハルフォードはチルドレンを手に入れていたのだろう?
 いつ手に入るかわからないこの兵器をひたすら待つだろうか?”


「スティーブさん?」

「もしかしたら……ハルフォード提督はやはり我々より先に手を打っていたのかもしれません」


「……え???」


ふたりがコックピットを調査している同じ頃、他の捜索班はストーム内の一室に無数のコールドスリープカプセルを見つけた

そこにはたくさんの少女たちが眠っていたのだった……


エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ