
クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第2章 旧市街地の戦い
「奥さん、運転出来ますかッ!?」
ラーズ・ローズが機体の外部スピーカーでバス内のアリッサ・グリメットに声を掛けた
だが先程のようにバスの窓から首を出してくる様子が無い
「……?」
不審に思ったラーズはモビルスーツを屈ませて膝まかせ、コックピットハッチを開けた
外気の風と遠くの爆音を聞きながらラーズは外へ出る
“旧市街からは離れたけど、まだ戦闘が近い”
ラーズは急がなければ、と思いオートワイヤーを伝って地表に降り立った
バスの乗車口に駆け寄る
「どうしました?」
ラーズがバスの中に入ると10人の子どもたちが先程の女性を取り囲んでいた
子どもたちは10歳ぐらいだろうか
金髪、赤毛、黒毛、ストレートに巻き毛、髪の色は皆バラバラで白い肌もいれば浅黒い肌、アフリカ系もいればアジア系もいてる
“インターナショナルスクールか?
では奥さんと言ってしまったが引率の先生なのだろうか?”
ラーズは子どもたちをかき分けアリッサに近づいた
みるとアリッサは右腕に深い切り傷を負っており、少女のひとりが自分のスカートの裾を引きちぎって腕に巻きつけている様子であった
どう見ても運転出来る状況では無さそうだ
“……仕方ない、バスは動かせるのか?”
ラーズは床に散ったガラスの破片を踏みつけてバスの前方へ向かう
ドサッとシートに沈み込む
キーは着いており、捻るとエンジンがかかった
バスは動かせるようだ
“……俺のモビルスーツを隠さないと、敵の標的にされてしまう”
ちらっと外の光景を見ようと振り返ると、いつのまにか少女たちがモビルスーツの周りを取り囲んでいる
「おい!触るんじゃねー、オモチャじゃないんだぞッ!?」
取り囲んだ少女が一斉にラーズの声に反応してバスの方向を見つめる
が、すぐにあらぬ方向へ全員がカオを向けた
「来る」
「ここは危険だ」
「お母様を連れて離れなければ」
「でもわたしたちは手足が短すぎてバスの運転はできない」
「バスはあのパイロットに任せよう」
「なるほど」
「では私がモビルスーツを移動させよう」
「では皆はバスに乗り込もう」
「そうしよう」
その直後、付近に爆音が響き空からの攻撃が始まってしまった…!
