狂愛の巣窟〜crossing of love〜
第10章 【狂愛の巣窟〜ラスト・シーン〜】
「実は今日、私もムシャクシャすることがあって気が立ってるの、一日の最後にキミを見つけた時……何か救われた気がした、何故だがわからないけどそんな気がしたの、キミを拾って良かった、風邪引かさずに済めたなら本当は良い日だったんじゃないかって思えたの」
指を絡めてきたから握り返してしまう。
帰らないで……という視線に一瞬心が揺れる。
「どうして普通に帰してくれないの?一線引いてる意味ないじゃない、そんな度胸、キミにあるの?言っておくけどこれは忠告よ?このまま年上のお姉さんに面倒見てもらったことにしておきなさい」
パッと手を離して現実に戻してあげたのに。
熱を帯びた視線は変わらなくて。
まぁ、想定内だわ。
ここで引いていく男とはサヨナラだけど、一度もそんな男は居なかった。
罠を仕掛けたなら必ず仕留めていたから。
近付いてきた顔に
「まだわからないの?キミには荷が重過ぎるって言ってるの」と最後の念押し。
それでも重なる唇に応えてあげるのは少しでも一緒に背負う為。
同じ十字架を背負わせる為。
ドアに押し倒されて何度も角度を変えて食べられていく。
焦らないで、もう逃げないから。
服の上から胸を弄ってくる。
「ベッド連れてって……」
そう言ったら目の色変えて抱きかかえてきた。
優しくベッドに置かれて熱いキス。
慣れてるのかなって思ったけど、服を脱がす手が若干震えてる。
「幸せ過ぎて怖い……」
泣きそうな顔で言うキミを抱き締めた。
「ごめん……怖いよね、キミ1人で決めさせてごめんね、共犯だよね、私も悪い……」
「これ以上は止まれなくなりますけど……良いですか?」
まさか、そのセリフを先に言われるとは。
あどけないフリして攻めるところは攻めてくる。
「受け止めたら良いの?」
「全力で愛しますから、応えてください」
乱れた前髪を直してあげて、うん、と頷いた。
キミがどんな風に私を悦ばせてくれるのか興味しかないよ。
握り締めた手の薬指には指輪が光ってる。
それでも前に進むのは2人の意思。
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