
恋、しません?
第1章 第一話 男友達の家政婦致します
二階も一階と同じく、広く長い廊下が続いていた。
小さな窓がいくつも付いた深い色の木の壁の対面にそれぞれの部屋の扉が付いている。
階段を上がって直ぐ横に日向の部屋。
それに続いて日向が図書室と呼ぶ本棚で囲まれた部屋。
そして二つのゲストルーム。
そのうちの一つが菊子に与えられた部屋だった。
自分の部屋に案内された菊子は目の前の風景に目を輝かせた。
菊子が住んでいた部屋は、家賃六万八千円の1Kのアパートだった。
部屋の広さは六畳きっかり。
ベランダはあるが、ベランダに出てみても見えるのは隣のビルの壁だった。
それが、この部屋ときたら、広さは八畳ほど。
大きな窓からは庭の桜の木と青空が見える。
家具は備え付けのクローゼット。
そして寝心地の良さそうなシングルベッドに壁際に置かれた黒くつややかな木製の机。
机とお揃いの椅子にはクッション部分に深紅の手ざわりが良さそうな布が貼られている。
のんびりできそうなシングルソファーと小さなテーブル。
テレビに、さらに嬉しい事に猫足の可愛らしいドレッサーまであった。
正に、至れり尽くせりである。
「こんな部屋、私が使っちゃって良いんでしょうか? そもそも、ここ、ゲストルームなんですよね」
興奮している菊子とは対照的に、日向は冷めた目をしている。
「ああ。ここは元々、住み込みの家政婦の部屋として使っていたから。ゲストルームはあと一部屋あるし、家には泊まり込む客も滅多にいないし問題無い」
「そうなんですか」
菊子に言われても、日向は無言で頷くだけだった。
日向の冷めた様子を見ていたら、菊子の興奮も治まって来た。
「隣のゲストルームは大体同じ感じだから見なくても良いよな」
日向は限りなく棒読みに近い感じでそう言う。
「……はい」
菊子が頷くと、日向は「後、残りはシャワールームだけだ。行くよ」そう言って一人で先に部屋を出てしまった。
「はい……」
眉間に皺が寄るのを我慢して菊子は日向の後に続く。
小さな窓がいくつも付いた深い色の木の壁の対面にそれぞれの部屋の扉が付いている。
階段を上がって直ぐ横に日向の部屋。
それに続いて日向が図書室と呼ぶ本棚で囲まれた部屋。
そして二つのゲストルーム。
そのうちの一つが菊子に与えられた部屋だった。
自分の部屋に案内された菊子は目の前の風景に目を輝かせた。
菊子が住んでいた部屋は、家賃六万八千円の1Kのアパートだった。
部屋の広さは六畳きっかり。
ベランダはあるが、ベランダに出てみても見えるのは隣のビルの壁だった。
それが、この部屋ときたら、広さは八畳ほど。
大きな窓からは庭の桜の木と青空が見える。
家具は備え付けのクローゼット。
そして寝心地の良さそうなシングルベッドに壁際に置かれた黒くつややかな木製の机。
机とお揃いの椅子にはクッション部分に深紅の手ざわりが良さそうな布が貼られている。
のんびりできそうなシングルソファーと小さなテーブル。
テレビに、さらに嬉しい事に猫足の可愛らしいドレッサーまであった。
正に、至れり尽くせりである。
「こんな部屋、私が使っちゃって良いんでしょうか? そもそも、ここ、ゲストルームなんですよね」
興奮している菊子とは対照的に、日向は冷めた目をしている。
「ああ。ここは元々、住み込みの家政婦の部屋として使っていたから。ゲストルームはあと一部屋あるし、家には泊まり込む客も滅多にいないし問題無い」
「そうなんですか」
菊子に言われても、日向は無言で頷くだけだった。
日向の冷めた様子を見ていたら、菊子の興奮も治まって来た。
「隣のゲストルームは大体同じ感じだから見なくても良いよな」
日向は限りなく棒読みに近い感じでそう言う。
「……はい」
菊子が頷くと、日向は「後、残りはシャワールームだけだ。行くよ」そう言って一人で先に部屋を出てしまった。
「はい……」
眉間に皺が寄るのを我慢して菊子は日向の後に続く。
