
大人の俺と子どもの私
第3章 栞の家族
「忙しいとか関係ないでしょ。
家族でしょ。きちんと向き合わないと。」
「フフッ、難しいよねー。」
「…もっと自分にかまってって。
授業参観も、見に来て欲しかったって。
伝えなよ。朝でも夜でも、一言だけでも。
小学生が自分の気持ち押し殺すなよ。」
すると、歩いてた足がピタッと止まって、振り向いた。
「…言ったでしょ?
お兄ちゃんが引きこもってるって。それと、お父さんは単身赴任で家にいないの。
私までお母さんに迷惑かけたくないんだよね。」
俺は止まった栞ちゃんに近づいて聞く。
「だから自分が我慢するって?」
「…うん、そうだよ。」
