
もう推しとは言えない *番外編更新中
第7章 溺れかけ
しかも、最悪なことに…吉岡のクラスの授業を俺が受け持つことは、二年間なくて。
ただ…中高と野球部だったから、野球部の顧問に就任して…運がいいのか悪いのか、吉岡はマネージャーになってくれたから…吉岡が一年生の頃から、それなりの関わりはあった。
だけど…。
「ん…ポチ…」
「ポチじゃねぇっつってんだろーが…バカ。」
「あり、がと…」
(寝ぼけてんのか…)
…こんな感じで、俺を『ポチ』と呼ぶ彼女。
吉岡にとって、俺は…完全なる推し。
嫌われてない分マシかもしれないが、全く男として意識されないのも辛い。
可愛いって連呼されるのも…嬉しくねぇ。
それでも、俺に向けられる笑顔とか、頑張って色々してくれる姿とかに、どんどん惹かれていくのを感じた。
俺が頑張ったな、と言うと必ず吉岡は遠慮したあと…嬉しそうに、照れくさそうに笑う。
そういう、笑ったところを…見ていたいと思った。
…田口と付き合ってる、って分かってたから。
あからさまなくらい、田口は…真帆は俺の彼女だから、と周りに牽制していた。
そのくせ、浮気するとか…ガチで許せねぇ。
その程度の恋心で、吉岡を振り回すなよ…。
