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もう推しとは言えない *番外編更新中

第5章 花火



_次の週の土曜日になった。
待ち合わせの時間は、七時。今は…午前の十時、だというのに…。


「ねぇ、由香里、何もこんな大掛かりなことしなくても…」

「何言ってるの〜!九嶋先生と花火見に行くんでしょ?可愛い格好してドキッとさせてやりなよ!」

「いや、ポチは私なんて眼中に無いよ。」


ポチと花火を見に行く…って一応由香里にも言ったら、ドタバタと私の家まで駆けつけてきた由香里。
その手元には、メイク用具と、何着か浴衣とその帯とか髪飾りとか。

…私より由香里の方が楽しそうだ。


「というか、ドキッとしてもらう必要ないし…推しだもん、ただの。」

「でも、田口くんとは無事お別れしたんでしょ?」

「まぁね…中々しつこかったけど、ポチが色々根回ししてくれたから。」


…そういう意味でも、やっぱりポチは優しくて、私を助けてくれる。

_俺が優しくしてやるのは、お前だけだっつーの。

あの言葉は…ポチの本心なのか、犬みたいな見た目のくせして猫みたいな気まぐれなのか。
…犬みたいな見た目のくせして、っていうのはただの偏見だけど。

気まぐれなのか、本心なのか…わかんないよ、バカ。
本心だと思いたい…けどね。

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