テキストサイズ

シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 129 美冴の告白

 わたしはタクシーに乗り、走り過ぎていく、首都高速のクルマの流れを眺めながら、改めて、別れ際前の、その美冴さんの告白を思い出していた。


「実は、わたしは……」

 …急激に、『黒い女』から覚醒してしまったせいなのか、突然に、さっきみたく、自律神経が暴走してしまうみたいで…
 急にハイテンションになって、色々な想いや、衝動や、疼きが昂ぶってしまい、自分自身の力で抑制できなくなってしまうみたいなの…
 と、驚きの告白をしてくれたのである。

 だから、だからなのか…

 さっきのあの、突然の迷走状態は、そんな理由があったのか…


「だから、だから、さっきはごめんなさい…」
 美冴さんは、そう何度も謝ってきたのだ。

「そうなんですか…」

「うん、まだもう少し、心のリハビリが必要みたくて…」

 そうだろう、『黒い女』からの覚醒から、まだ1週間しか経っていないのだから…

 きっと、まだ心が追いつかないのだろう…


「でも、そんな話しをしてくれて…
             嬉しいです…」
 わたしは本当に嬉しかったのだ。

「何か、何か力になれるなら…」
 何でも云ってきて欲しい、頼って欲しい…
 と、そう伝えた。

「うん、ありがとう…
 友達だもんね、これからは頼ります…」

「は、はい…」
 わたしは美冴さんのその言葉が素直に嬉しかった、そして、感動もしていたのだ。

 友達だもんね…

 その言葉が心を震わせてくれるのである。

 友達…

 心に響いていた。

 あ、そうだ…

 大原本部長に電話しよう…

 さっきは場面が場面であったし、出る気分ではなかったのだ。
 だが、今なら彼と話したい。

 美冴さんが友達になってくれた話しをしたい…

 時間はちょうど午前零時過ぎだ、まだ起きているか、それともまだ銀座かな…

 わたしは大原本部長に電話を掛ける。

 プルル、プルル、プルル、プルル…

 プルル、プルル、プルル、プルル…

「………」

 気づかないのか出ない…

 ま、いいか、明日話そう…

 明日話せばいいか…

 今夜は、すぐに眠れる筈だから…



 

ストーリーメニュー

TOPTOPへ