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シャイニーストッキング

第18章 ほつれるストッキング2          蒼井美冴と松下律子

 14 蒼井美冴(7)

「あ、それ、わたし……
 ゆうじはわたしの彼だったの…」

「え…」

「それはわたしとゆうじの写真…」

 わたしがトイレから戻ると、松下さんが角に展示してある『沢村悠司追悼コーナー』の展示物を熱心に眺めていた…
 そして、どうやら、わたしとゆうじのスナップ写真をジッと見つめているから、そう教えたのである。

「え、あ、そうなん…ですか」
 すると驚いた声を漏らし、振り向いた。

「うん…もう二年半になるのかな…」

 そう…
 ゆうじが亡くなって、もう二年半が過ぎた。

「………」
 そして松下さんは、そんなわたしの言葉に思いを巡らせているみたいな目を向けてくる…
 きっとそれは、わたしのこのお店に対する思い入れを想像しているみたい。

 だからわたしは…
「うん、ま、そんな感じよ」
 松下さんを見つめながら、そう囁く。
 
「………」
 すると今度はその目が、わたしを上から下まで見て、動き…
「え、あ、あれ?」
 違和感の声を、漏らしてきたのだ。

 やっぱり気づいた、さすが松下さんだわ…
 その時、さっきのタクシー内で確信した、
『ストッキングラブ』という思いが脳裏に浮かび…
 少し、心の騒めきを覚える。

「あ、う、うん…」
 そんな松下さんはすかさず、わたしの変化に気づいたみたい。

 それは…
 トイレで、黒いストッキングに穿き変えてきたということーー

「………」
 そして松下さんは…
 え、なんで?
 と、不思議そうな目を向けてくる。

 だから、わたしは、素直に…

「うん、このお店『波道』では…
 黒いストッキングを穿く事に決めてるのよ…」
 そう言ったのだ。

「………」
 松下さんは、一瞬だけ、不思議そうな目を浮かべたのだが…
「え、く、黒いストッキングを?」
 そう聞き返してきた。

「うん、そうなの、黒いストッキングをね…」
 でも、きっと松下さんなら、このわたしの想いを理解できる筈…


「あ、え…」
 
 だから…
『アナタなら、わかるでしょう?』
 わたしは、そんな思いを込めて逸らずに見つめ…

「……うん、そう、彼が、ゆうじがね…」

「え……あ…」

「黒いストッキングが大好きだったのよ…」
 そう、言った。

 だって、きっと…
 松下さんなら、わかる筈だからーー


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