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シャイニーストッキング

第18章 ほつれるストッキング2          蒼井美冴と松下律子

 11 松下律子(5)

「さ、松下さん…」

「はい…」
 美冴さんは壁際の端の席へ座り、わたしは彼女の左側の席へと勧められた。

「ふぅ、さてと…あ、ノリくんいつものね」
 美冴さんは座るなり、そうノリくんと呼ばれているマスターに伝え…

「………」
 スッと横を向き、わたしを見つめ、微かに笑みを浮かべ…

「うん、そう、秘書さんにもだから二つね」
 
「はい、りょーかいっス」
 と、オーダーした。

「え、あ、わ、わたしは…」
 慌てて、わたしは…

「ううん、大丈夫よ、飲みやすいから…
 うん、それにね、ぜひともね、松下さんにも飲んでほしいの…」
 と、まるで、お酒の弱いわたしを見透かしたかの様に、穏やかな笑みを浮かべ、そう言ってきた。

「わたしお勧めのカクテルをね…」

「あ、は、はい…」
 完全に、美冴さんにペースを握られてしまっていた…
 だけど、それは、決して上からの圧力とかではなく、どちらかといえば、穏やかで心地よい流れ、いや、美冴さんのリードといえた。

 それに、タクシーの中からでもあるのだが…
 
「サッパリしてて、松下さんにも気に入ると思うのよ…」
 
 美冴さんはそう囁きながら、さりげなく、わたしの膝を…
 ストッキング脚に触れてくる。

 そしてわたしはその度に、秘かにドキっと心を揺らしてしまっていたのだ…
 だって、そのさりげない手の感触から、もの凄く熱い、熱量を感じるから。

 そう、それはまるで、わたしを試しているようでもあり、 同時に何かを伝えようとしているようでもあった…
 
 今もそうーー

 スカートの膝から伸びた脚に触れている、その手のひらがしっとりと熱を帯び…
 その都度、微かに震えてしまうわたしの小さな挙動を見逃すまいと、穏やかなのだが、美冴さんの目が、逸らずに見つめてくる。

「はい、ソルトリック二つ、お待ちどうさまっス」
 カタン…
 と、小さく音を立てて、ノリくんが、カウンターにロングカクテルを置いてきた。

「ソルトリック?」

「うん、そうよソルトリック…
 昔ね、大切な人にね、勧められたカクテルなの…」
 美冴さんは、一瞬、宙を見つめ、そう言った。

 それはまるで、そこに、誰かがいるかの様な視線を、宙に向けて…

「さぁ、どうぞ…」

 チン…
 グラスを合わせてきたーー


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