テキストサイズ

シャイニーストッキング

第4章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長

 91 暴走のきっかけ

 何よりも本音は、ひとまずこの場から、ゆかりさんの目の前から逃げたかったのである。
 それは、恥ずかしさと激しい焦燥感で、とても、まともに彼女の顔が見られなかったからであった。

 そしてわたしはトイレに逃げ込み、鏡を見つめる。


 ああ…

 なんてことだ…

 ああ…

 やってしまった…

 鏡に映っている、今にも泣きそうな表情になり焦燥感に打ちひしがれている自分の顔を見て、そう想っていた。

 まるで…

 まるで、あれじゃ…

 あれじゃ、ただの淫らな、淫乱な、欲情したメス女じゃないか…
 そして脳裏には、戸惑いの表情を見せているゆかりさんを様子が浮かんでくるのだ。

 戸惑い…

 困惑…

 驚き…
 彼女はそんな目をしていた。

 ああ…

 わたしはまさか今夜は、ゆかりさんは女性だし、これほどの自律神経の暴走は起こらないと想っていたのだ。
 
 いや、完全に油断していた…

 そして、何がきっかけで自律神経の暴走が始まったのかを振り返ってみる。

 ああそうだ…

『彼を、大原本部長を…
  奪われれてしまうかも…』
 そのゆかりさんの言葉がきっかけでわたしの暴走のスイッチが入ってしまったのかもしれない。

 奪われる…

 わたしに憧れる…

 憧憬の目…

 きーちゃんと和哉の目…

 そして微かにゆかりさんの目からも妖しい光を一瞬感じた気がした…

 だから、そこから子宮の疼きのスイッチが入ってしまったのだ。

 だけど…

 だけど、本当に…

 ゆかりさんを、佐々木ゆかりを、彼、大原浩一本部長から奪って愛したい…
 そんな衝動を、あの瞬間は本気で想ったのだ。

 あの美しい、濡れ唇を…
 本気で欲しいと想ってしまっていた。

 きーちゃんのように、和哉のように、愛したい、抱きたい…
 と、一瞬、本気で欲情したのだ。

 だからさっき確認したが濡れていたのだ、欲情で下着を濡らしていたのだ…






ストーリーメニュー

TOPTOPへ