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シャイニーストッキング

第16章 もつれるストッキング5  美冴

 89 二つの負の感情

 私は…
 目覚め、ビールを一気に飲み干した美冴の目を見て…
 心が大きく揺らいでしまった。

 おそらく美冴は、この冷えたビールを飲み干したことにより、さっきまでの異常なくらいの昂ぶりの興奮から一気に冷め、醒めたみたい…
 そう、感じられたから。

 そして、その目を見て、ゾクリとしてしまう…

 また同時に…
 『罪悪感』と『焦燥感』という、二つの大きな負の感情が湧き、心を波立たせてきた。

 そんな想いに、心が一気に飲み込まれてしまい…
『最悪でひどい夜だわ…』
 という美冴の呟きの言葉のウラから、これからのリアルな重さを実感してしまい…
「あ、い、いや、そ、それは……」
 と、情けなないくらいに狼狽えてしまったのである。

 すると、突然…
「そんな覚悟がないんなら、悪さなんてしなければ良かったのにっ」
 と、苛立ちの言葉を吐いてきたのだ。

「あ、い、いや……」
 モロにみっともなさを突かれ、更に慌て、口ごもり、全てを見透かされてしまうと恐れ、目を伏せてしまう…
「はぁぁ…」
 いや、もう簡単に見透かされてしまったようで、そんな苛立ちのため息を漏らしてきた。

 そして、キッと睨み付け…
「もっと、開き直りなさいよっ」
 突然、声を荒げ、そう言ってきた。

「えっ、あ…」
 
『悪さなんて…』
 悪さ…
 そして、その言葉が心に引っ掛かる。
 
 軽いようで軽くはない言葉…
 だが美冴は敢えて、そう言ってきたみたい。

「それをまったくさぁ…
 ホントにみっともない…」

「ぅ………」
 だが、返すコトバがなかった。
 私は思わずうつむき、指先の吸いかけのタバコの火をジッと見つめる。

 ジリ…
 タバコからゆらゆらと紫煙が昇り、焼ける小さな音が鳴った。

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