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シャイニーストッキング

第15章 もつれるストッキング4    律子とゆかり

 139 昂ぶりの余韻(9)

「はぁ、ふぅ、あ、アナタぁ…」
 律子は貪る唇を離し、ネクタイを外してくる。

「り、律子…」
 そしてネクタイを器用に解き、Yシャツのボタンをアッという三つ外し…

「はぁぁ、ふうぅぅ…」

「え、あ、お、おい、り、律子」
 なんと律子は、その外した隙間に鼻先を寄せ…

「はぁぁ甘いわぁ、アナタの香り…」
 私の体臭をその隙間から思い切り嗅ぎ…
 うっとりとした表情を浮かべてそう呟いたのである。

「はぁぁ、ふうぅぅ」

「お、おい、り、律子…」
 そういつも、いや、遡って顧みると、あの横浜での私の衝動的な夜からだろう…
 私の体臭を、40歳のオジさんのニオイを嗅ぎ、そんなうっとりとした表情を浮かべながら『甘い』と呟くのだ。

「はぁ、アナタのこの甘い香りが堪らないのぉ」
 まるで酔っぱらいの如くの、うっとりとした、酔い痴れた笑みの表情を浮かべてそう呟いてくる。

「あ、い、いや、こ、こんなオジさんの体臭のニオイなんて…」
 そう、私はこの律子の行為には本当に恥ずかしい…
 羞恥心を感じてしまうのだ。

「ええ、そんなぁオジさんのニオイだなんてぇ…
 本当に甘くてぇ、いいニオイなんですからぁ」
 だが律子は、本当に酔っぱらいの如くの、酔い痴れた表情でそう囁いてくる。

「い、いや、オジさんの加齢臭だから…」
 私は本当に恥ずかしいのだ。

 だが…

 顧みると、ゆかりも美冴も、いや、もっと昔から…
 あの田舎での最初の女性である『きよっぺ』こと『本田きよみ』や、あの高校時代の『希望ののぞみ』こと『ノン』も、確かに皆、口を揃えて甘いと云ってはいた。

「そ、そんな、本当に…甘いのか?」
 これは律子に対しての問い掛けではなくて、過去からを顧みての独り言に近いのだが…

「ええ、本当に甘いのよ…」

「いや、そんな、それは、汗のニオイじゃぁ?
 今日も朝から汗をかいているしさぁ…」
 そう言いながらもまた、背中に汗をかいてしまっている。

「はぁぁ、その汗が甘いのよぉ…
 それに、それが…」
 律子はそう囁きながら胸元から顔を上げ、うっとりとした…
 いや、違う…
 さっきより更に濡れた、欲情の昂ぶりの淫靡な目を向けてきて…

「この…
 この甘いニオイ、香りが…
 わたしを……狂わせるの…」

 そう囁いてきた…


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