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シャイニーストッキング

第10章 絡まるストッキング9      美冴とゆかり

 31 シャワー上がりの…

「ふうぅ、サッパリしたぁ…」
 美冴さんはそう言いながらシャワールームから出てきた。

「あっ…」
 だがわたしは、そんな美冴さんの姿に思わずドキッとしてしまい、そう声を上げる。

 なんと美冴さんは湯上がりの素肌にバスタオルを一枚巻き付けただけの姿だったのてある…

「あっ、すいません、こんな格好でぇ、着替えがあのバックに入れたままだったの…」
 と、美冴さんはにこやかに言ってきた。

『あっ、いや、女性の風呂上がりは母ちゃん以外に見た事がなくって…』
 と、この時のわたしの脳裏に、そんなあの朝方のホテルでの杉山くんの声が浮かんできていたのだ。

 なるほど、ある意味、衝撃的かも…

 わたしも、身近な女性の風呂上がりのバスタオル一枚の姿は見た事は無かったから…

「あらぁ、いい香りが…」
 そう、わたしは美冴さんがシャワーを浴びている間に髪を乾かし、そしてムスク系の香りのお香を焚いておいたのである。

「うわっ、きゃあ、な、なんて…」
 すると今度は小さな悲鳴を上げてきた。

「えっ」

「な、なんて、素敵な…夜景……」

 そう、時刻はもう午後7時を指している…
 外はすっかり夜になっていたのだ。

「うわぁ、やっぱりぃ、凄いし、素敵だわぁ…」
 そんな美冴さんはバスタオル一枚の姿のままにリビングルームの窓に近寄り、外の夜景を見ていく。

「あぁ、飛行機がぁ…
 あれは船?…
 えっ、あっ、すごぉぃ…」
 感嘆の声を漏らしてくる、いや、悲鳴に近い。

「やっぱりぃ、25階だと凄い風景に、夜景ですねぇ…
 あぁ、蕩けちゃいそうだわぁ…」

 えっ…

 わたしはその美冴さんの
『蕩けちゃいそうだわぁ…』の言葉に、少しドキッとしてしまう。

 確かにわたしはもう、この外の風景、夜景には慣れてしまって、日常では目にも入ってはこないでいた…

 でも、結婚当初は確かに、この夜景にはときめき、蕩け…

 そして…

 濡れていたかも…

「ホント、凄いですねぇ、あっ、きゃあっ…」
 すると、やや興奮気味な美冴さんが振り向いた拍子に、スルッとバスタオルが落ちてしまったのである。

「きゃあぁ」

「あっ」

 わたしと美冴さんは小さく叫ぶ…





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