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戦場のミハイル

第4章 遊撃部隊、北に進む

ミハイルは抱き寄せられ、添い寝を受け入れた


〈どうしてこの状態をオルガさんにしてあげられないんだろうか…〉

と複雑な心境だ


本来この位置に横たわるのは自分では無い筈なのに、と邪推してしまう



「どうだ、落ち着くだろう?
 若い女なら〈カミエーター〉としての義務を果たそうと思うかもしれんが、わたしなら平気だろ?」


「そんなことないですよ、隊長が求めるのならお相手します」

「ふぅん? それって来る者拒まずじゃないか? わたしのような中年のおばさんまで相手にするのか…」


「望まずの運命ですよ、母親も義理の姉も、恋人の母親とも寝た男です
 咎められても否定はしません」


「お前……、大丈夫か?」


「平気……とは言いませんけど、それを受け入れてはいますよ
 それよりどうしてこうしてオルガさんを抱き締めてやらないんですか?
 彼女はあなたを待っているでしょう?」


「また、その話しかッ! 別にオーリャに対して拒んでるんじゃない……、隊長として部隊をまとめることを優先させているだけだッ!」


ミハイルは〈この人、ムキになってるだけだな〉と感じた


「たしかに過酷な戦場の仲間ですからね
 だからこそ寄り添う相手が近くに居れば、お互いに生きる源になれれば良いんじゃないですか?
 この小隊の連中でそれを咎める人は居ませんよ」


「じゃあ、お前は誰に寄り添うんだ?ミーシャ? 聞けばお前は責務ばかりで、誰に活力をもらうんだ?」


「……ぼくは活力を与える側であって、受け取る立場にないですから」


「それを言うのなら、隊長のわたしも同じじゃないかッ!」


ふたりの問答が繰り返されたとき、ドアがノックされた



「……今度は誰だ? モテる男はツラいな、ミーシャ? え?」


「………」


ミハイルはイラッとした表情を隠さず上役の顔を睨みつける


「はい、今あけます」


ドアの前に立っていたのはオルガだった…!


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