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ほしとたいようの診察室

第9章 ひとときの外出



「本当に、好きなんだね。料理するのが」


柔らかい笑みをたたえて、陽太先生がわたしを見つめる。


「もちろんです」


顔を上げて、きっぱりと答えた。
不思議ともう、緊張はしなかった。やりたいことをありのまま伝えることに、緊張の半分を割いていたのかもしれない。


「そういうことなら。まずは近くのスーパーに行こうか。買い出ししてからの方がいいでしょ?」


頷くと、行き先が決まる。
陽太先生はゆっくりとブレーキを解放しながらハンドルを握った。


「よし、行こうか」



静かに車が発進する。

そっと浮くような感覚で、車は滑り出した。



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