ほしとたいようの診察室
第9章 ひとときの外出
病院の自動ドアをくぐった。
朝といえど、今日は気温が上がるらしい。すでに暑さがじんわりと体を包み、そのせいなのか、はたまた緊張からか、全身に汗が滲む。
バックを握る手にも力が入る。
今日は、正真正銘、何をしても良い。
それに、陽太先生も一緒だ。
何があっても大丈夫という安心感と、陽太先生と手放しで2人きりで過ごす時間への期待で、頬が硬くなる。
陽太先生が車から降りてきて、助手席のドアを開けた。
陽太先生はいつものスクラブや白衣を着ていない。
深いグリーンの緩いシャツに、すらっとしたシルエット、チャコールのボトムス身につけていていた。
陽太先生が開けてくれた助手席が、自由への入り口だった。
「おはよう、のんちゃん。さあ、乗って。今日はよろしくね」
こうしてわたしは、条件付きの自由を得た。
……
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