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ほしとたいようの診察室

第7章 回想、主治医の苦悩

……


ある日の夜。

時刻は9時を回り、病棟は静かになり始めていた。
小さい子はもう眠る時間だった。


だいたい、起きてるのは小学生や中学生の子どもたち。


「やべ、陽太先生きた!」

「いつまで起きてんの。早く寝な〜」


ナースステーションまでの道のりを歩く間、灯りのついた子どもたちの病室に声をかけていく。


「まだ9時だよ。寝られないんだもん」


不服そうに、唇を尖らせる子どもたち。


「明日は朝から、なかよし教室でしょ? 体調崩したら許可出せないよ」


なかよし教室とは、院内学級のことである。
調子が良くなってきた長期入院の子どもたちは、教室に出席して勉強する。

子どもたちにとって、院内学級は楽しみのひとつだったりするので、

「はーい……おやすみなさい」

教室がある日の前日は渋々ながら、布団に入って休んでくれる子が多い。


「うん。おやすみ。ゆっくり休むんだよ」


他にも何人か、気になる子どもの様子をチェックしてから……






のんちゃんの部屋へ行く。



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