
ほしとたいようの診察室
第2章 遠い記憶と健康診断
「怯えんでも大丈夫だ。安心して働きな。食堂で勤めることになったって、蒼音くんから聞いた。プリンは俺も好きだ。買いに行く」
「ふふ……先生、甘党なの、変わらないんですね。糖尿病になっちゃうよ」
「ならんよ。家に自称奥さんがいるからな」
「え、先生結婚したの?!」
「してない、『自称』奥さんだ」
「なんだそれ……」
優先生は家族はいるけれど、結婚していない、という。
昔からちょっと不思議なところがある。
優先生の自称奥さんも、不思議のベールに包まれたままだ。
気分が良くなったら、帰っていいらしい。
陽太先生には会えないまま。
採血室にまとめてあった荷物を持って、玄関へ向かった。
