
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
「こんな嫉妬や後悔も、あいつらを活発にさせるんだ」
「なつるさんみたいな気持ち、誰にだってあります。心の自由です」
それにあの男の自滅を願っていたのは、自分も同じだ。ゆいかがそう続けると、なつるが笑った。
ゆいかの推測は当たっていた。なつるは対処を見出していた。
それから二人でルシナメローゼの景色を見納めながら、道中、元住人達と会話した。見覚えのあった数人は、出会い頭にゆいかに頭を下げてきた。中には訴訟はやめてくれと請いながら、所持金を突き出してきた女もいた。なつるのいた手前、ゆいかは彼女達に洞穴でのことはあまり喋らせないよう努めた。明珠には折を見て謝罪を兼ねて打ち明けるつもりだが、明日からまた元の生活に戻る彼女達が、ここでの罪を背負い続けることはない。ここでの幸福を見限らせるのだから。
未来は、犠牲の上に成り立つ。煌びやかな幸福の水面下には、多くの涙が沈んでいる。
魔法少女が強く気高くいられるのは、アニメや小説の世界だけだ。現実は、自身の未来のために他者を蹴落とす、無力な人間。
そうした話を、ある元住人に聞かせた時、彼女はゆいか達にこう返してきた。
